クラス fk_Tree

木構造用データベースクラス [詳細]

fk_Treeのコラボレーション図
Collaboration graph
[凡例]

すべてのメンバ一覧

Public メソッド

 fk_Tree (const std::string name="default")
 コンストラクタ
virtual ~fk_Tree ()
 デストラクタ
fk_TreeDatagetRoot (void)
 根ノード参照関数
void clear (const std::string name)
 初期化関数
fk_TreeDataaddNewChild (fk_TreeData *parent, const std::string name)
 新規ノード生成関数
bool deleteBranch (fk_TreeData *node)
 ノードおよびその下の枝の消去関数
bool clearChildren (fk_TreeData *node)
 子ノードおよびその下の枝の消去関数
fk_TreeDatacloneOneData (fk_TreeData *parent, fk_TreeData *node)
 単一ノード複製関数
fk_TreeDatacloneBranch (fk_TreeData *parent, fk_TreeData *node)
 枝複製関数
bool moveBranch (fk_TreeData *parent, fk_TreeData *node)
 枝移動関数
void toFront (int n, fk_TreeData *node)
 順位前進関数
void toBack (int n, fk_TreeData *node)
 順位後退関数
bool isArive (fk_TreeData *node)
 ノード生存確認関数
fk_TreeDatafindData (const std::string name)
 ノード検索関数
fk_TreeDataforeachData (fk_TreeData *node)
 逐次ノード参照関数

Protected メソッド

virtual fk_TreeDatamakeNewData (fk_Tree *tree, const std::string name, fk_TreeData *parent)
 ノード生成時関数

説明

木構造用データベースクラス

このクラスは、木構造を用いたデータベース機能を提供します。

本クラスは、FK の機能を利用するためのものではなく、 ユーザが木構造を利用する際に便利なユーティリティクラスです。 本クラスおよび fk_TreeData, fk_TreeBaseObject の各クラスを用いて利用します。 これらのクラス中の解説で使用される用語を、以下のように定義します。

これを図で説明します。

Tree01.png

ツリー構造

各クラスの役割ですが、 fk_Tree クラスは木構造全体のデータベースとなります。 fk_TreeData は各ノードのデータを意味します。 fk_TreeBaseObject は、 fk_TreeData に対してユーザ定義のデータを付加するための基底クラスとなります。 基本的には、ノードの生成、移動、消去といった操作は fk_Tree で、 ノード自体の設定は fk_TreeData のメンバ関数で行うことになります。

各ノードには任意の名称をつけることができます。 異なるノードに同一の名称をつけることは可能です。 しかしその場合、 findData() でノードの検索を行う際には不都合が生じる場合があります。 検索機能を有効利用したい場合は、名称を一意にしておくとよいでしょう。

参照:
fk_TreeData, fk_TreeBaseObject

コンストラクタとデストラクタ

fk_Tree::fk_Tree ( const std::string  name = "default"  ) 

コンストラクタ

インスタンスの生成時に、 同時に根ノードとして fk_TreeData 型のノードが一つ自動的に生成されます。 引数によって、その根ノードに対する名称を設定します。

引数:
[in] name 根ノードの名称
virtual fk_Tree::~fk_Tree (  )  [virtual]

デストラクタ


関数

virtual fk_TreeData* fk_Tree::makeNewData ( fk_Tree tree,
const std::string  name,
fk_TreeData parent 
) [protected, virtual]

ノード生成時関数

この関数は、 addNewChild() などで新たにノードが生成された際に、 各ノード (fk_TreeData インスタンス) ごとに呼び出される関数です。 fk_Tree クラスの派生クラスにおいて、本関数を再定義することにより、 ノード生成時に自動的に行っておきたい処理を記述することができます。 デフォルトでは、以下のようなコードになっています。

    fk_TreeData * fk_Tree::makeNewData(fk_Tree *tree,
                                       const std::string name,
                                       fk_TreeData *parent)
    {
        return(new fk_TreeData(tree, name, parent));
    }

本関数のコードでは、必ず fk_TreeData 型のインスタンスを生成し、 それを返す必要があります。

引数:
[in] tree 新ノードが属する fk_Tree インスタンス
[in] name 新ノードに指定されている名称
[in] parent 新ノードの親となるノードのインスタンス
戻り値:
新たなノードとなる fk_TreeData 型インスタンスを生成し、 それを返すようにして下さい。
fk_TreeData* fk_Tree::getRoot ( void   ) 

根ノード参照関数

根ノードであるノードのインスタンスを返します。

戻り値:
根ノードインスタンス
void fk_Tree::clear ( const std::string  name  ) 

初期化関数

現状の、根ノードを含む全てのノードを消去し、 新たな根ノードを作成します。

引数:
[in] name 新しい根ノードの名称
参照:
deleteBranch()
fk_TreeData* fk_Tree::addNewChild ( fk_TreeData parent,
const std::string  name 
)

新規ノード生成関数

新たなノードを作成します。 既に兄弟ノードが存在していた場合、 その中での順位は一番後となります。

引数:
[in] parent 新ノードの親となるノードのインスタンス
[in] name 新ノードの名称
戻り値:
新ノードのインスタンス
bool fk_Tree::deleteBranch ( fk_TreeData node  ) 

ノードおよびその下の枝の消去関数

指定したノードと、そのノードを元とする枝全体を消去します。 例えば、下図の左側において「D」のノードを指定した場合、 D および F, G, H, I のノードも消去します。

Tree02.png

枝の消去

根ノードについては、本関数によって消去はできません。 clearChildren() との違いは、本関数は指定ノードも消去しますが、 clearChildren() は指定ノードの消去は行わないことです。

引数:
[in] node 消去するノードのインスタンス
戻り値:
消去に成功すれば true を、失敗すれば false を返します。
参照:
clear(), clearChildren()
bool fk_Tree::clearChildren ( fk_TreeData node  ) 

子ノードおよびその下の枝の消去関数

指定したノードの子ノード全てと、その子ノードを元とする枝全体を消去します。 例えば、下図の左側において「D」のノードを指定した場合、 F, G, H, I の各ノードを消去します。

Tree03.png

子ノードの消去

deleteBranch() との違いは、本関数は指定ノードの消去は行いませんが、 deleteBranch() では指定ノードも消去することです。

引数:
[in] node 指定ノードインスタンス
戻り値:
消去に成功すれば true を、失敗すれば false を返します。
参照:
clear(), deleteBranch()
fk_TreeData* fk_Tree::cloneOneData ( fk_TreeData parent,
fk_TreeData node 
)

単一ノード複製関数

ノードの複製を行い、任意のノードの子ノードとして登録します。 複製する要素は以下のとおりです。

  • 名称
  • fk_TreeeData::setObject() によって登録されたユーザインスタンス

この関数においては、複製元のノードで子ノードが存在していた場合、 子ノードの複製は行いません。 例えば、下図の左側で「F」のノードを「B」のノードの下に複製した場合、 新たな「F」ノードの下には何もノードがない状態となります。

Tree04.png

単一ノードの複製

複製した先に兄弟ノードが存在していた場合、 新たなノードの順位は一番後となります。

引数:
[in] parent 複製先の親ノードインスタンス
[in] node 複製元のノードインスタンス
戻り値:
成功した場合、新たに生成されたノードインスタンスを返します。 失敗した場合は NULL を返します。
参照:
cloneBranch(), moveBranch()
fk_TreeData* fk_Tree::cloneBranch ( fk_TreeData parent,
fk_TreeData node 
)

枝複製関数

枝の複製を行い、任意のノードの下に登録します。 複製する要素は以下のとおりです。

  • 名称
  • fk_TreeeData::setObject() によって登録されたユーザインスタンス
  • 各兄弟ノードの前後関係

例えば、下図の左側で「F」のノードを「B」のノードの下に複製した場合、 新たな「F」ノードの子ノードとして「H」、「I」のノードも一緒に複製されます。

Tree05.png

枝の複製

複製した先に兄弟ノードが存在していた場合、 新たなノードの順位は一番後となります。

引数:
[in] parent 複製先の親ノードインスタンス
[in] node 複製元のノードインスタンス
戻り値:
成功した場合、新たに生成されたノードインスタンスを返します。 失敗した場合は NULL を返します。
参照:
cloneOneData(), moveBranch()
bool fk_Tree::moveBranch ( fk_TreeData parent,
fk_TreeData node 
)

枝移動関数

枝の移動を行います。 移動する要素は以下の通りです。

  • 名称
  • fk_TreeeData::setObject() によって登録されたユーザインスタンス
  • 各兄弟ノードの前後関係

例えば、下図の左側で「F」のノードを「B」のノードの下に移動した場合、 「D」の下にあった「F」はなくなります。

Tree06.png

枝の移動

枝が移動できる条件として、 移動先となる親ノードに元の枝の中にあるノードを指定することはできません。 上図で例えると、「F」の移動先として「H」や「I」は指定できないことになります。 移動した先に兄弟ノードが存在していた場合、 新たなノードの順位は一番後となります。

引数:
[in] parent 移動先の親ノードインスタンス
[in] node 移動元のノードインスタンス
戻り値:
成功した場合 true を、失敗した場合 false を返します。
参照:
cloneOneData(), cloneBranch()
void fk_Tree::toFront ( int  n,
fk_TreeData node 
)

順位前進関数

任意のノードに対し、兄弟ノードの中での順位を前に移動します。

引数:
[in] n 前に移動する順位数。 ただし、n が以下の条件を満たした場合、 一番前に移動します。

  • 順位よりも大きな数値を指定した場合。
  • n が負の場合。(例えば -1 など)
[in] node 操作対象ノードのインスタンス
参照:
toBack()
void fk_Tree::toBack ( int  n,
fk_TreeData node 
)

順位後退関数

任意のノードに対し、兄弟ノードの中での順位を後に移動します。

引数:
[in] n 後に移動する順位数。 ただし、n が以下の条件を満たした場合、 一番後に移動します。

  • (兄弟ノードの個数) - (順位) よりも大きな数値を指定した場合。
  • n が負の場合。(例えば -1 など)
[in] node 操作対象ノードのインスタンス
参照:
toFront()
bool fk_Tree::isArive ( fk_TreeData node  ) 

ノード生存確認関数

指定したノードが、本インスタンスのデータ中に存在するかどうかを確認します。

引数:
[in] node 確認対象ノードインスタンス
戻り値:
データ内に存在していれば true を、していなければ false を返します。
fk_TreeData* fk_Tree::findData ( const std::string  name  ) 

ノード検索関数

名称をキーとしてノードを検索します。 もし同一名のノードがデータ内に存在している場合は、 最も早い段階で生成されていたインスタンスを返します。

引数:
[in] name 検索対象ノード名
戻り値:
見つかれば、そのインスタンスを返します。 データ内に存在していなかった場合は NULL を返します。
fk_TreeData* fk_Tree::foreachData ( fk_TreeData node  ) 

逐次ノード参照関数

データ内の各ノードを、逐次的に参照していきます。 引数に代入したノードインスタンスにより、以下のような動作を行います。

  • 引数に NULL を代入した場合、根ノードを返します。
  • 任意のノードを引数に代入したときは、 そのノードの次に生成されたノードを返します。
  • 最後に生成したノードを代入したときは、NULL を返します。

以下のコードは、データ内の全てのノードを参照するものです。

    fk_Tree         tree;
    fk_TreeData     *node;

    for(node = tree.foreachData(NULL);
        node != NULL;
        node = tree.foreachData(node)) {
        // node 変数にノードが入っています。
    }
引数:
[in] node 逐次探索対象ノードインスタンス
戻り値:
引数の次に生成されたノードインスタンスを返します。 引数のノードが最後に生成されたインスタンスであった場合は NULL を返します。
FineKernelToolKitに対してFri Apr 23 16:38:44 2010に生成されました。  doxygen 1.6.3